夢見るデリジョン 351 View (2023-07-05 15:32)

クリスマレー: 若いベテラン

はじめに


ブレイザーズに23位で指名されたクリスマレーは最上級生だった。とはいえまだ若いながらも非常に落ち着いたプレーを見せる。彼の大学最終シーズンを数字とともに振り返っていこう。



万能フォワード: 現在地


万能型の大型フォワードとして活躍していたことが大雑把に見ても分かる。この話はまた後で触れるが、とにかく弱点が少ない。それでいて、高いTierにいる項目がいくつもある。さあ万能フォワード、クリスマレーについて少し詳しく見ていこう。



ポイントフォワード: プレーメイクの分析


ターンオーバー
アシスト

安定したプレーメイク能力を持つクリスにはポイントフォワードポテンシャルがある。AST%は74パーセンタイルで圧倒的とは言えないが、高水準だ。それでいて、97パーセンタイルとターンオーバーの少なさはTOP Tierにいる。彼よりAST/TOV共に良い数字を記録したのは2選手のみだ。そして、他のプロスペクトと比較しても如何に安定したプレーメイカーかわかるだろう。



最も安定したボールコントローラーである証拠は他にもある。下の図はUSG%とTOV%の関係をまとめたものだ。右下に行くほど、ボールタッチの時間が長く、ターンオーバーが少ない優れたボールコントローラーであることを示している。そして今一度クリスの位置を確かめると、グラフの右下にいるのだ。これはクリスが最も安定したボールコントローラーであることを示す。そしてそれは他のプロスペクトたちにも大きな差をつけている。



必要なピース : 勝利貢献度の分析


勝利貢献

勝利貢献度を見てみよう。上に行けば行くほど、勝利貢献度が高かったことを表す。彼はWS(勝利貢献度)で95パーセンタイルを記録した。実際に分布を見てもかなり上位層に位置しており、他の選手たちとは差があるように見える。しかしながら、最上位層には離されているというのもまた事実だ。TJDは別格としても他のトッププロスペクトは先頭集団として、離れ小島に存在しているが、クリスはそこに辿り着けていない。とはいえ彼の貢献度は高く、一年目から活躍すると期待される。ただ、それは少しロールプレイヤー的だとこの図からは感じる。



万能フォワード: 総合力の分析


プレーメイク
総合力
ファールドロー

強みは全ての分野で平均以上の能力を持っていることだ。FT/FGA以外全ての項目で中央値以上を記録していることが以下の図からわかる。FT/FGAはアタックに対するフリースロー割合だが、これはチームを代表するスコアラー以外は気にする必要がない。つまりクリスはNCAAのレベルでは弱点が全くなかった。しかしながら、プロットの多くは50-70パーセンタイルにいることが分かるように、これらがNBAで長所となるかはクリス次第だ



NBAレベルでの疑問 : NBA対応への分析


ターンオーバー
スコアリング
オンボール

疑問点ももちろん存在する。クリスの場合それは、NBAレベルにおける対応力だ。下の図は、良いチーム(オレンジ)と悪いチーム(灰色)との対戦成績の差をまとめたものだ。青い線は良いチームと対戦した際に数字を落としている部分、赤い矢印は良化したものを表している。はっきりと分かるのは、ほぼ全ての分野で数字を落としてしまっていることだ。これは彼がNBAレベルに対応できるかどうかについて、一抹の不安を与えている。とはいえ、良いチームと対戦する際に、数字が落ちるのは当たり前なことだ。どこが問題なのかより詳しく見ていこう。



不安なのはスコアリングだ。USG%がほとんど悪化していないのは素晴らしいが、TS%は大きく落としてしまっている。これは高いレベルのディフェンダー相手に上手く得点できないことを示している。また、AST%も落ちていることからもオンボールでNBAレベルで対応できるかは分からない。しかしながら、ターンオーバーはむしろ良化していることにも注目してほしい。彼はオンボール率(USG%)を落としてはいないが、ボールロストをむしろ減らしているのだ。私の考えでは、クリスはNBAでいきなり多大なインパクトを示すタイプではないが、ボールに絡んでオフェンスに流動性を与えるロールプレイヤーとして輝くだろう。


まとめ


プレーメイク
ターンオーバー
勝利貢献
総合力
スコアリング
リバウンド
ディフェンス
ファールドロー

クリスマレーはルーキーとは思えないくらい総合的に完成されており、特にボール保持能力については言うまでもない。この総合力の高さは残念ながら主役として発揮される確率は高くないが、ロールプレイヤーとして輝いていく可能性を感じさせる。スクート、シェイドンという軸が揃ったブレイザーズにとって、クリスのような大型フォワードは間違いなく貴重な存在だ。


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