夢見るデリジョン 209 View (2023-08-10 16:51)

ラインナップスタッツをいじる会

はじめに


一言にスタッツと言っても多くの指標が存在する。PtsやAstはもちろん、中にはどうやって算出されているのかイマイチ分からない先進的なものも多くある。今回は、ラインナップスタッツを分解して、個人貢献度に分解する手法を追体験しながら学んでいこう。※youtubeに動画版を投稿しているので、そっちの方が合う方は以下をご覧ください。最後に今回用いたノートブックも貼って置きます。



ラインナップスタッツを確認する


対象となるのは、ブレイザーズの2022-23シーズンで25分より多く起用したラインナップが残したスタッツである。 



最も起用されたラインナップは上の通りだった。初めの方のスタメンであるラインナップは、TDLまでに541分もプレーしていたようだ。しかしながらネットレーティングは-0.5だった。これがブレイザーズの現状というところだろう。



良かったラインナップも見てみよう。上記がTOP5ラインナップだ。プレータイムも考えると、サイモンズハートウィンズロウジェラミヌルクのラインナップは最も機能したラインナップと言っても良いかもしれない。また、ハートやウィンズロウの出席率が高いことも注目だ。


分析手法に迫る


理論

今回のメインコンテンツに入りましょう。先程紹介したラインナップスタッツは5人の貢献度が混ざり合って生まれた結果だ。そのため、誰が最も貢献しているとか、もっと良いラインナップがあるか、などはこのままでは分からない。そのため、先程のものを個人単位まで分解する理論を紹介する
まずはプレイヤーの出場データをx、調べたいスタッツのデータ(Ortgなど)をyと以下のようにおく。



選手個人の貢献度を推定するために、選手能力(貢献度)が存在すると仮定してアルファとおく。昔算数で習ったような手法を思い出す方もいるかも。これによって、チームのスタッツを個人単位に分解する。



面白いことにこれだけでスタッツが分解することができる。とはいえ、数式だけ並べてもなんだか小難しいので、意味を解釈していく。1つ目の式は選手能力αと出場xが掛け合わさることで結果yが生まれる。例えば1分間で2点取れる能力(α)を持った選手が、20分出場(x)すれば40点(y)取ることができる。どうだろうか?意外と単純な気がしてくる。


// 式1
y = αx
// 式2
α = y/x

式1を単純な式変形によって、選手能力(α)を求める式2が得られる。これだけで選手能力を求めることができるのは面白い。
※もちろん実際には相性や環境など、複数の要素が絡まって成績が出るということは忘れてはいけない。


実際に計算してみよう


成績を選手単位まで分解する方が分かったので、実際に求めてみる。計算した結果、ブレイザーズのネットレーティングへの貢献度は以下のようになった。ウィンズロウ、ハート、デイムさんが上位となった。どうでしょう?個人的には結構直感に沿っていて、初めてやったにしては良い結果になったかなー、と。



更に、このネットレーティングをオフェンスやディフェンスに要素分解してみよう。これをすると一気に面白くなる。しかも今回は何となくペースも入れてみた。面白い結果になると良いなー。




面白い感じになってくれた。ウィンズロウやハートはオフェンスでもディフェンスでも重要な役割を果たしてるみたい。デイムさんはオフェンスでの影響度は絶大だけど、ちょっとディフェンスはマイナスという結果でかなりそれっぽい。そして意外とブレイザーズの中ではペースが速いというのも面白い。


印象的なのは、シェイドン貢献度が意外と高かった。シーズン後半タンクしていたため、割と勝っていた前半に出場していた選手より不利だが、意外と数字が良い。同じようにサイブルはディフェンスがマイナスなのもこういう事情だろう。特に彼は前半は出場していない。


終わりに


どうだったでしょうか。バスケ分析の理論に触れる機会は自分もあんまりないので、ゆっくり追体験しながら考察していきたい。面白いと思っていただけたらすごく嬉しい。次回はパスネットワークの分析をできたらいいな。。。


付録


付録として今回用いたノートブックを貼っておく。


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