夢見るデリジョン 345 View (2023-10-09 23:19)

ディアンドレ・エイトン: モダンとトラディショナルの融合

プロフィール


Deandre Ayton (#2/C) 211cm/113kg


大まかに



 Aytonの2022-23シーズンは大まかに上記の通りである。リバウンドと支配率に大きな強みを持ち、アシストもビッグマンの中で中央値を超えている。また、スチールやブロックの数字はよくないが、DWSでは上位20%の貢献を見せていることがわかる。一方で、ファールドローが低く、ターンオーバーもやや多い印象を受ける。これだけ見ると、かなりヌルに近いタイプのセンターに感じるが、どうだろうか


ブレイザーズのセンター陣との違い



 ヌルといえば、特徴的なのはアシストとリバウンドの強度だ。その観点で上のグラフを見てみると、彼らの違いが見て取れる。リバウンドはエイトン、ヌルキッチともにエリートレベルだが、アシストではわずかではない差が見られる。プレーメイクという観点では、ヌルというよりユーバンクスに近いことが分かる。そしたら新たな疑問が生まれるだろう。オフェンス面での役割はユーバンクスに近いのかと



 実は全然そんなことはない。ユーバンクスとエイトンとの大きな違いは支配率に表れている。USG%で見れば、エイトンはかなりヌルに近い。先程のことと統合して考えれば、得点を重視したヌルというのが、現時点では適切な表現なようだ。さて、ディフェンスではどうだろうか



 ディフェンスで残している成績はやはりヌルにかなり近い。リバウンドに強く、リムプロテクトを重要視していないようだ。ただあえて触れるならば、双方の数字は


オフェンスの役割



 上はエイトンのプレー選択と、その効率を示したものだ。ロールマンが最大の得点源で、ポストから同じくらい得点する。ポストアップを多用するトラディショナルなオフェンススタイルだと言える。他に特徴的なのは、トランジションからの得点効率が非常に高いことで、これは90パーセンタイルに当たる。ただし、現状はプレー選択としては5.2%と少ないので、この強みをイマイチ生かしきれていない。逆の見方をすれば、もしスクートの効果で速攻のチャンスが増えれば、凄いことが起こるかもしれない。



 ブレイザーズといえばPnRだ。デイムが抜けた今でも優れたガードが在籍するブレイザーズは間違いなくPnRを多用する。そういう点でエイトンはベストフィットだと言えよう。まず、エイトンはヌルの2倍近く、PnRから得点する。そしてその効率はヌルよりさらに良い。そしてここで面白いのは、その内訳だ。エイトンはとにかくターンオーバーが少なくファールドローも少ない



 この特徴はポストプレーにも表れている。ポストでも同じようにターンオーバーが少なければ、ファールドローも少ない。そしてアンドワンの確率はさらに低い。その中で効率に勝るのは、ショット精度とターンオーバーの少なさによるものだろう。言い方によっては、堅実なスコアラーだと評価することもできる。そしてもう一つここで押さえておきたいのは、エイトンがヌルと同じくらいポストを選択することだ。サンズの強力なメンツを考えれば、その割合はブレイザーズでさらに増加する可能性がある。ブレクラはおそらくポストを多用するビッグが好きだ。ヌルだけでなく、カンターやメロもポストアップを使っていた。だからエイトンのこともすぐに気にいるだろう。


 ここまででもしかしたら違和感を感じた人がいるかもしれない。私もその一人だ。エイトンは自分のオフェンスであまりターンオーバーをしないのに、AST/TOはセンターの中でも良いとはいえない。ボールを扱うのはうまいが、パスでターンオーバーが発生しているのだろうか。エイトンのこれからを見守る上で一つの注目ポイントになりそうだ。


トランジションの効率 (スクートエフェクトの期待)

堅実でトラディショナルなスコアラー

ファールドローの少なさ

ディフェンスの役割



 オフェンスの話が終わったなら次はディフェンスの話だというのは世の常だろう。エイトンのポゼッションの多くはスポットアップを守ることに当てられ、アイソレーションが次に多い。とはいえこれはあまり特徴的とはいえないだろう。(ビッグマンは自分のマークマン意外を守ることが多いので、Otherが多くなっていると考えられる。)



  エイトンのスタッツを見ていて、最も驚いたところは彼のペリメーター(アイソレーション)ディフェンスだ。センターとしては驚異的とも言える中央値越えのペリメーターディフェンスをしている。アデバヨやADのような動けるビッグの代表格が60パーセンタイル程であることを考えれば、これがどれだけ驚異的かわかる。トラディショナルな体格からは想像できないようなモダンなディフェンダーだと私は評価する。そして、ブレイザーズが彼を気に入っている部分だろう。



 もちろん全てが完璧とはいかない。スポットアップに対するディフェンスは間違いなく、ダウングレードになった。失点効率に大きな差があるのは明確だが、ファール率にもそれは現れる。一見低い方が良いように感じるファール率だが、これは失点効率と合わせて考えれば、クローズアウトに対する消極性を表しているかもしれない。これはもちろんヌルキッチがすごいというのもある。センターにして67パーセンタイルのディフェンス、彼はイメージよりもハッスルなディフェンダーだった、ブレイザーズにとって彼を失った穴は決して小さくない。


堅実なマンディフェンス(ロールマンやポスト)

モダンなペリメーターディフェンス

クローズアウトに対して消極的かもしれない

終わりに


 私のエイトンに関するスタッツだけ見た分析は以上の通りだ。これで、エイトンの全てが分かると豪語するつもりは ない。そしてすでに自分の中で彼に対する大きな期待が膨らんでいるのを感じる。ここまで読んでくれた人も同じように感じてくれたら嬉しい。そしてモーダにエイトンを迎え入れた時、この記事のことを思い出してくれたらそれ以上のことはない。それまであえて、彼のプレーはあまり見ないようにしておこう。


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