夢見るデリジョン 939 View (2023-06-07 18:00)

シェイドンシャープ: 輝く希望の光

はじめに


シェイドンシャープの現在地は以下の通りだ(SGの中)。リバウンドやショットブロックにおいて秀でていることは分かるが、他の部分については平均程度またはそれより低い。しかし、私のシェイドンについての見通しは良いものだ。なぜならシェイドンはラスト10試合で特別な存在であることを示した(画像右)。


彼の成長具合をもう少し分かりやすく可視化してみる。ほぼ全てが大きく向上していることが分かるが、特に支配力とプレーメイクでの成長が目立っている。


わずか19歳だったカナダの青年、シェイドンシャープはどのように成長したのか、彼の強みや残る課題について、激動のルーキーシーズンを詳しく振り返ってみよう。


オフボールスコアラー : プレータイプの分析


オフボールスコアラー
トランジションアタック
ハンドリング

プレータイプスタッツは以下の通りだ。左がプレー選択割合を、右がその得点効率を表す。パッと目に付くのは、オフボールスコアラーとしての能力の高さだ。このグラフは彼がエリートレベルのカッターかつスポットアップシューターであることを示している。


強みについてまずは触れよう。彼のプレーの70%以上はオフボールまたはトランジションによるものだ。本来ビッグマンが有利なカットやプットバックで共に70percentileを超えており、トップティアにいることが分かる。NBAのガードで5%以上プットバックを選択し、70percentileを超えるプレイヤーはわずかに4人しかいない。シェイドンシャープが特別なのはこれらのインサイドにおける得点だけでなくシューターとしても際立っている点だ。C&Sの3P%は45.5%を記録しており、1ポゼッションあたり1.14点をあげている。トランジションはプレーの21%を占め、これはブレイザーズにおいてはJosh Hartにつぐ数字だ。60percentileのスコアリングもまずまずと言えるが、まだ改善の余地がある。彼は7回に1回の割合でTOVをしてしまっている。これは度々囁かれるハンドリングの弱点が現れていると言える。


課題は明確で、先ほども少し触れたようにハンドリングだ。この課題が最も現れているのがPnR-Handlerプレーだ。1/6のポゼッションをTOVで失っている。彼が支配力を見せ出した後半の試合でも、相手のアグレシッブなPnRディフェンスに苦しめられていた。ただ最後の最後で、彼はPnRディフェンスに対して回答を見せていた。そして15.7%のプレー選択は今後の成長を信じるのに十分だ。一方でもう一つのオンボールであるアイソレーションのスタッツは悪くないが、彼のシューティング能力を考えると、まだまだ改善の余地がある。では改善の余地は何なのか?次は彼のジャンパーについて見てみよう。


プルアップの問題 : シューティングスタッツの分析


キャッチ&シュート
タフショット
プルアップ

強みはタフショットも問題なく沈めることができる高いシュート力だ。下の図はディフェンダーからの距離とシュート効率の差を表している。シュート構成に差はあるものの、ワイドオープンショットとタフショットでEFG%に8.6%しか違いがない。彼はそれほどディフェンダーを気にしていないということだ。


課題はプルアップシュートにある。下のグラフはドリブル回数とシュート効率の関係を示したものだ。見ての通りたった1ドリブルでシュート効率を大きく落としていることが分かる。特に3ポイントショットではこの問題が顕著であり、C&Sで45%あった確率はドリブルをつくとその回数に関わらず、25%以下まで低下している。ポイントは「回数に関わらず」と言う部分だ。これは彼のプルアップメカニズムの問題を表している。試合で彼がよく見せる「フェイク→サイドステップ→3P」の流れは効率的ではなく、今後改善させる必要がある。


改善の可能性は高いと私は見ている。下の図を見てほしい。深刻な問題なのはプルアップ3Pショットだけだということを主張している。1-2ドリブルからの2Pショットは多くの場合でミドルレンジだろうが、確率は良い。シーズン全体で40%だったことを併せて考えても彼はプルアップミドルに大した問題を抱えていないことが分かる。私は来シーズンにシェイドンシャープがこの課題を克服すると確信している。何はともあれサマーリーグを見てみよう。シューティングの分析はここまでにして、次は最も話したかったテーマに移ろう。


馬鹿げた成長 : プレーメイクの分析


成長速度
コンボガードポテンシャル
ターンオーバー

成長する選手は少なくない。しかし、ここまで馬鹿げた成長を遂げる選手は中々いない。実のところ私や多くのブレクラがシェイドンシャープを信じる理由はここにある。下のグラフをなるべく冷静に見てほしい。1月からのAST%とUSG%の伸びは完全に指数関数を描いている。ゲームの支配権を得た4月にはTop Tierへと数字を伸ばすどころか、AST/TOまで改善させている。もちろんA+のプレーメイカーになるにはまだ少しTOVが多いが、このグラフを見て彼を信じられない者などいるだろうか。そしてブレクラが喜ぶデータを一つ提供する。4月のAST%は24.9%だったが、シーズン平均でこれを上回ったSGはたったの6人で、そのうち3人はオールスター、2人は一般的な分類ではPGだ。


未来のゴールデンコンビ : パスネットワークの分析


Watford
Dame
Simons
Eubanks

最もシェイドンがパスを供給したのはDameで、Simons, Watfordと続く。TOP3人はハンドラーとして高い能力を持っていることから考えると、この事実はもしかしたら彼のクリエイトに関する課題を表しているかもしれない(プルアップの問題、ハンドリング…)。ただ4位にEubanksがいることは意外な結果だ。


シェイドンシャープにとって最高のパサーはWatfordだ(Dameはいつもトップなので覗く)。Watfordは広い視野と深いゲーム理解を駆使してシェイドンシャープに最高の選択肢を与える。お互いに行き来するパスが多いことは近い将来彼らがゴールデンコンビとして名を上げることを示唆している。そしてもう一つ注目すべき点は、Eubanksがここでも上位にいることだ。彼らの間で、ハンドオフプレーヤPnRなど様々なプレーが展開されていたことを暗に示しており、これはシェイドンのプレーメイクポテンシャルを説明している。


最大の挑戦 : ディフェンスの分析


オンボールディフェンス
ショットブロック
オフボールディフェンス

現在地は良くない。以下はディフェンスの影響度をさまざまなカテゴリーに分けてプロットしたものだ。当然上にいればいるほど良い。彼にとって最大の挑戦はディフェンスだ。じゃあ何が問題なのか見ていこう。


希望を感じさせるのは彼のオンボールディフェンスは良い数字だと言うことだ。アイソレーションに対するディフェンスはエリートレベル(80%)で、ポストアップやロールマンも意外と守れている。これは彼が強いフィジカルを持っていることの一つの証明だろう。そしてそれはリバウンドにも現れている(70%)。


弱点はオフボールだ。38%の割合でスポットアップに持ち込まれており、その効率も悪い。さらにマークマンの受け渡しが発生するハンドオフプレーでは最低のTierにいる(10%)。好意的に捉えれば、マークを剥がされても止めに行くハッスルを持っていると評価できるが、これはかなり無理矢理だ。一般的に見ればこれらの数字は彼のローテーションエラーを表している。


違う見方をしてみよう。以下はマッチアップごとの彼のディフェンススタッツだ。スポットアップの問題に表れていたようにDFG3%はかなり悪い。しかし、この問題は一旦置いておいて、強みに目を向けよう。本来のBLK%とは若干だけズレているが、大きな差はない。それを踏まえた上でBLK%を見てみると、彼がウィング相手に優れたショットブロッカーとして立ちはだかっている様子がわかる。


ディフェンス分析の最後にマッチアップ相性の良い選手と悪い選手を紹介しておく。ただ、サンプルも少ないので、ここではあえて深い考察は避ける。


輝く希望の光 : まとめと私感


オフボールオフェンス
シューティング
プレーメイクポテンシャル
ダンク
リバウンド
ショットブロック
プルアップメカニズム
ハンドリング
ターンオーバー
ディフェンス
オフボールディフェンス

シェイドンシャープは来年大きなステップを踏むと保証する(もちろん何も出てこないが)。彼は2023-24シーズンにおける潜在的なMIPプレイヤーで、Darius Gralandの成長曲線に乗ることが期待される。そしてこれは楽天家による予測ではなく、上記に示したような根拠に基づく意見だ。


キャリアの予測をしよう。彼のポテンシャルに限界はない。オフェンス面に関しては全ての面で保証されていると考えることができ、苦手なディフェンスまでも優れたショットブロックポテンシャルを持つ。もし彼がオフボールディフェンスを真に理解した時、脅威的なヘルプディフェンダーとして君臨するだろう。そしてこのディフェンスがスーパースターへの階段を登る上での最大の壁だ。


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