ドライブ

　サイズがありますが、まるでウィングプレイヤーのようなスキルがある。ガードのスキルを想像すると少しのギャップはあるが、十分強みと言える要素だ。特にクロスオーバーは幅もあり、スピードもあるので1歩で抜き去り、リムにアタックする。Cとしても使える選手として、そのドライブ能力は際立っている。これが彼の一番の魅力と考える人も多い。

シューティング

　基礎シューティング能力は高く、3P/FT: 32.7%、FT:70.8%を記録した。あれ、微妙じゃね？と感じた人は少し待ってほしい。彼は最近まで18歳のプレイヤーだったことを考慮に入れる必要がある。そして、1年目(ドイツ3部リーグ)での記録(29.8%/52.6%)から、リーグレベルが上がってもなお大きく向上したことは、彼のあまりあるシューティングポテンシャルを表している。
　細かい話に移ろう。CnSはスムーズであまりディップをしない(ここもジェラミに近い)ため、リリースが高いことを含めて、わずかなスペースでも打つことができる。36分換算で約6本のスリーを試投しており、さながらシューターのようだ。今の時代に3ポイントを打つビッグマン(彼は純センターではない)は少なくないが、それでもなお彼のアテンプト能力は貴重である。さらに驚くべきことに、彼はオフザドリブルでも積極的にシュートを狙う。将来的にはよりジェラミのようなプレーエリアとなるだろう。

リバウンド

　フィジカルはしばしば問題視されているが、リバウンドでは優れたインパクトを残している。Reb%は19.1%を記録(O:11.27%、D:26.2%)、センターとしてプレーできるポテンシャルを示している。もちろんこれはスペイン2部の記録であって、NBAでは厳しいのでは？という意見も否定はしないが、現在良い成績を残していることに対して悲観的になる必要はない。私の意見では彼は強いリバウンダーではないが、ハッスルなリバウンダーであり、これだけの成績を残していると考察する(フルゲームが見当たらないので)。

フィニッシュ

　レイアップ自体も上手いとは言えず(ジェラミのレイアップを想像して欲しい)、フックやフローターの精度は正直現時点では酷いものだ(とてもビッグマンとは思えない)。この弱点が彼の評価を下げる主要因となっている。何故なら、長所の一つであるドライブとの兼ね合いが非常に悪いからだ。

フィジカル

　この問題が先述のフィニッシュにも繋がってくる。センター相手には、リムから遠ざけられて、タフなショットになりがち。しかし、フィジカルの問題が最も影響しているのは彼のディフェンスである。ドイツ3部リーグで6.5%を記録していたBLK%は、3.7%まで低下しており、このサイズ&スピードを持っている選手としては低調な結果に終わっている。これは対戦相手のフィジカルレベルが上がったことに起因しており、NBAでは苦戦が予想される。少なくとも現時点でNBAビッグを守る能力はない。

パス

　フルがないので、なんとも言えないが、パスは上手くはない。AST%は2.8%とセンターとはいえ、低調な数字に終わっている。特にペリメータースキルがあることを考えると。NBAではよりフィニッシャーとしてのプレーが期待される。ただ3部リーグでは、より良い数字(10.4%)を残していたのは伝えておこう。

ターンオーバー

　こちらも彼の長所と噛み合っていない。ドライブからのターンオーバーが異様に多いらしい(試合は見れない)。ただこれはかなり直感的で、ハイライトから見られる彼のドライブはどこか危なっかしい印象を受ける。というかとてつもなくジェラミ・グラントだ。ブレクラなら彼の課題がTOVであることは知っているだろう。数字で見ても、TOV%は13.1%で、よりペリメーターでプレーしていた3部リーグでは20.6%だった。
　しかしながら、これはそこまで悲観的な数字ではない。役割を与えられないプレイヤーはターンオーバーをしないのだ。この欠点はそのまま彼のポテンシャルの高さを表している。彼はまだ19歳で、日に日に成長している。

ドラフト外が予想される選手の中では、圧倒的に輝く原石だ(私の意見)。もちろん、まだ即戦力のプレイヤーではないが、どこかジェラミを想像させる彼のスキルセットにはいつか日の目がくるだろう。この19歳の可能性の塊をここで囲っておくのは悪くない選択だ。そしてシュミッツは彼を2年前に誉めていた、もちろんシュミッツの中にもその選択肢があるだろう。