圧倒的ポテンシャル

　ここまで大きく、動け、スキルフルな選手はNBAの歴史でもいません。220cm以上と言われる身長は書かれた時期によって数字が違い、伸び続けているとも言われているため、実際には何cmなのかは分かりません。この身長を持ちながら108%を超えるウィングスパンに、手を伸ばすだけでリムに到達するスタンディングリーチを持つ。彼がNBAでどのようなキャリアを送るのか、その予測はもはや不可能でしょう。

ディフェンス

　少し調べると気が付くが、ウェンビーにおいて最も完成されているのはディフェンスだ。リファレンス先で詳細な解析が行われている。BLK%はあのマヌートボルを上回る11%を記録し、さらに驚くべきことに、彼がコートにいる時のチームBLK%は16%を記録した。フランスリーグよりレベルの高いユーロリーグ2021-22でも12.5%と破格の数字を記録(2位は約8%)。そしてこのゴール下の番人がスピードまで兼ね備えていると考えれば、彼の圧倒的なディフェンス力が分かるだろう。1年目からDPOYを獲っても誰も驚かないどころが、筆頭候補である可能性すらあるのだから。ただし、リバウンドは及第点であるもののDPOY候補のセンターとしては少し物足りない(11reb/36min)。

ショットクリエイト

　ガード顔負けのムーブをたびたび見せるなど、オフェンスのスキルセットはさながらKDのようだ。ペリメーターショットも躊躇なくうち、ドライブフィニッシュやミッドレンジゲーム、ポストプレーなど何でもこなす。また、ビッグマンらしくPnPやPnRなどからシュートを伺うこともできる。現時点で最高のシューターではない(3P:30.4%)ということは心に留めておく必要はあるが、リーグ1位のUSG%(2022年11月時点)を記録したショットクリエイト能力は間違いない。

ショットセレクション

　プロスペクトにはありがちだが、セレクションが良いとは言えない。サイズがあるので、ディフェンスの影響を受けづらいとはいえ、タフなミドルレンジを採用することが度々あり、リムフィニッシュ(68%:平均的)やアウトサイドシュート(3P:30.4%)も改善の余地がある。とはいえ約57%のTS%を記録していることも把握しておく必要がある(リファレンス先では指摘されているが、これを悪いセレクションというのかは難しい)。

フィジカル

　センターとして考えると、やはりフィジカルの問題はつきまとう。参照しているワールドカップの試合からも分かる通り、レベルの高くて強いビッグマンに対してポストプレーやロールを仕掛けた際に、ほとんどポジションを取れていない。高さを活かしてパスを受け取ることに何度か成功はしているが、フィジカルはやはり改善点の一つだ。この問題はディフェンスにも影響し、フィジカルなセンターには割と簡単に押し込まれ、リバウンドは高さでカバーしているが、ポジションを取られることも多い。とはいえヤニスがそうだったようにフィジカルは改善の可能性が高く、ジョンバトラーのような致命的なフィジカルではないので、ウィングとして使えば弱点にはならないと私は感じる。

アウトサイドシュート

　センタープレイヤーの弱点としてアウトサイドシュートを紹介するのは不公平にも感じるが、ネット上ではKDかのように伝えられることが多いため、あえて注釈する。NBAより近い3Pラインで30%程の成功率に留まっており、現時点ではKDのようなシューターではない。ただし、ショットフォームはスムーズで、FTは83.5%を記録したことから考えても、先述の「セレクション」が改善されることによって数字は良化すると考えるのが普通だろう。
　ただあくまで懐疑的な見方をすれば、彼の高さから放たれるシュートには現時点でもタフなシュートは少ないのだから、30%前後で推移するという考え方もできる。でもこれは明らかにマイナスに見ようとしているということは再度言っておく。※彼は捨てられた結果30%に落ち着いてるような悪いシューターでは決してない。

1位であれば当然指名するでしょう。大切なのは1位を引けるかどうかだけです。